前回の内容を建築に置き換えて一番わかりやすいエアコンにたとえると、、、
Aはエアコンを建物を建てている建築会社で購入ではなく、
家電量販店で購入・取付をお願いする
Bは建物を建てている建築会社からエアコンを購入して、取付もお願いする
Cはエアコンを建物を建てている建築会社で購入ではなく、
家電量販店で購入し、取付は建物を建てている建築会社にお願いする
になります。
エアコンはただ取り付ければいいというものではありません。
建築会社側の工事としてエアコン用のコンセント配線と壁下地があります。
コンセントの種類(100V 200V)
コンセントの位置
取付け部の壁下地
エアコン設置工事側の工事としてエアコン本体の取付けと
室外機に繋がる配管を通すための外壁の穴を開ける工事があります。
分離発注の場合、建築会社側の工事と、エアコン本体を購入したところの工事の
連携や指示を誰がすることになりますか?
建築会社、エアコン取付業者ともに
購入した商品の詳細、そして現場の状況を自動的に知ることはないので
取付に関する必須なこと、逆にやってはいけないこと
そして取付日などの段取りなどを誰かが両社に説明する必要があります。
その際、両社に調べてもらうこと、確認してもらうことが必ず出てきますが、
両社が調べることに時間を使う費用はどこから捻出されますか?
ここでもう一度、車の見積のところを見てくださいませ。
ディーラーと量販店の差は2万円、差の内訳は取付費と諸経費で1万円ずつです。
この差にはいろんなことが含まれています。
取付で言えば、単に車に取り付けるだけなのか、
もしくは取付のための確認事項が5項目なのか、はたまた10項目なのかによって
手間=取付にかかる時間=人件費が変わりますよね。
諸経費で言えば、ホイールが車にマッチするかどうかをカタログで見るだけなのか
それともホイールメーカーに問い合わせたり、それをもとに自社でも調べたり、
取付する社員に確認したり、、、、
こちらも確認の過程の差でかかる費用は変わるでしょう。
これらを自身で行えば無料ですが、誰かにお願いする場合には費用が掛かりますし、
内容によって費用も変わるし、
関係するいろんな人、物、事を調整し、指示する船頭さんも必要になります。
一括発注の場合には1社ですべてを請け負いますので
担当者が責任を持って車にマッチするかなどの確認や、商品購入代理店や
取付する人、必要な雑部品なども含め、各所に調整や手配、指示を行い、
その後のケアが必要になった場合でも担当者が責任を持って動くでしょう。
そのために各費用をいただくことになっていると思います。
分離発注の際は数社が関係しますが、それぞれが全容を知りませんので
誰かが調整や手配、指示をする船頭さんになる必要があり、
それは購入先や取付先を選んだお客さまになります。
つまりお客さまは一括発注の場合の担当者となるわけです。
そのかわり、ご自身が動く費用はかかりません。
車の例で一番トラブルが起こりやすいのは車にホイールがマッチするかを
ディーラーに調べさせた上で購入を量販店でしたケースかと思います。
取付けの際に両社のいきちがいがあったり、
取付後にもし不具合が出た時、ディーラー、量販店ともに
自社に責任はないと言ったらどうしますか?
「そんなことがないように事前にディーラーに問い合わせたのに」と
思うかもしれませんが
その際、ディーラーが無料サービスで商品マッチングを調べていたとしたら
マッチングに関して責任を問えるでしょうか。
分離発注にはそんなリスクを自身で追う代わりに
船頭さん費用が浮くというメリットがあります。
話を建築に戻しますが、、、
建築の場合には車とホイールのように単純明快ではなく、
さまざまなことが関係してきます。
たとえば下地を入れるべきところに下地が入っていなかったら
壁を剥がし、下地を入れ、壁を直し、仕上げのクロスもやり直しになりますので
分離発注の際のリスクにかかる金額が大きくなりますし、
ホイールのように「数年後に買い替えればいいっか」というものでもありません。
特にインターネットで商品を購入する場合、
安い金額で表示されているけど、本体だけでは取付に必要な部品が揃っておらず
いざ取り付ける時になって付属部品を購入する必要があることがわかり、
その日のうちに取り付けることができず後日、、、になる場合もあります。
また、写真ではきれいに取り付けられているけど、
いざ取り付けてみたら精度が悪くて加工が必要になったり、
別部品を買って取り付けなければならない場合もあります。
一括発注とは違って全容が見えていないのでさまざまなリスクが発生します。
また、車の件と同じく、他社購入品のことを調べてほしいと言われた時も
完全には網羅できません。
なぜなら購入他社と「いつもの仕事のやり方」が違うので
必要と思う調査や準備、そして施工のやり方も合格点もすべて違うからです。
大手ハウスメーカーでは分離発注を一切認めないところも多いと聞きます。
建築は基本的に安い場合には必ずワケがあります。
分離発注はうまく使えばメリットが大きくなりますが、
安く済むはずが、想定外のことがたくさん出てきて最終的に高くついた。
しかも仕上がりもよくない。
そんなことにならないように分離発注の際には建築会社と相談して
費用、求めるクオリティ、なにかあったときの責任などを検討し、
ご自身にとってメリットとデメリットのどちらが大きいかを確認することを
お勧めいたします。