「新築と中古住宅を買ってフルリノベーション、どっちがいいですか?」
よくお聞きする質問です。
答えは「どっちも正解です」にはなるのですが、
「○○の場合には」という条件がどちらにもつきます。
条件に関係する主なキーワードは次の通りです。
①予算
②家族構成
③築年数
④間取り
⑤何を求めるか
①予算
これは誰もが関係することですよね。
予算が無限にあるのなら、自分の住みたい地域で土地を探し、
自分の建てたい家を建てられるので無敵ですが
それはなかなか難しいですよね。
②家族構成
家族がご夫婦だけなのか、それともお子さんがいらっしゃるのか、
もしくはご両親とお住まいなのかによって最小限必要なスペースが変わります。
たとえば、大人4人なのと大人2人+小さなお子さん2人では
「今」必要なスペースと、「5年後、10年後」に必要なスペースの
両方を考えた時の想定が大きく変わります。
お子さんはいずれ大きくなり体格が大人と同じになります。
また、小学生ならランドセル、中高生なら制服と、必要な持ち物も変わります。
すなわち、必要な収納スペースもお住まいになられる家族構成によって変わります。
そして、いずれはお子さんが独立されていったとしたら
「自宅」から「実家」になります。
たとえばお子さんがすでに成人していて独立している方の場合、
お子さんがご家族を連れて帰省したときに家族だんらんができるスペースを
確保できるかも想定しますし、
ご夫婦がまだ若く、お子さんも小さい場合には、
お子さんが独立するまで長い時間がありますので、
ご家族中心で家を使うことの想定に重きを置いて考えるほうが良いと思います。
③築年数
フルリノベーションをする場合に重要なのが築年数です。
築年数が浅いほうが良いかというと実はそこは問題ではありません。
法律的には昭和56年、平成12年
このふたつの年代で大きく分かれます。
昭和56年に建築基準法が大きく変わり、
昭和56年以前の建物を旧耐震建物、それ以降の建物を新耐震建物と言います。
また、平成12年の建築基準法改正で耐震金物を使うよう制定されました。
でも実際の建物はというと、明治時代の建物であろうが現代の建物であろうが
画期的に木造建物が変わったところはひとつだけになります。
手刻みかプレカットか
手刻みとは柱や梁などを大工さんが1本ずつ加工することで、
プレカットはそれを機械で加工することを指しますが
両者の違いは歴然としています。

柱に両側から梁が接続する部分の手刻みモデルです。
加工部がわかるように完全に差し込まずに写真を撮っています。

こちらがプレカットの同じケースです。
両者の違いは「自立できるかどうか」
手刻みは複雑な加工を駆使するので手を離しても自立しますが、
プレカットは機械加工なので複雑な加工ができず、
組んだ後の金物だよりの工法なので手で支えないと梁が抜け落ちます。
プレカットが急速に広がったのは平成に入ってからで、
現代の建物の90%以上、感覚的には99%がプレカットです。
それぞれに一長一短がありますが、圧倒的に違うのが接合部の強度。
手刻みは一旦組んでしまうともう外れません。
ところが実は構造計算ではこの接合部の仕様は反映されませんので
プレカットでも手刻みでも同じ計算過程とみなされますが、
実際には写真の通り差は歴然ですから
中古住宅の本当のポイントは築年数よりも
手刻みかどうかが耐震性能に大きく関わります。
④間取り
これもフルリノベーションの場合に大きく影響するのですが、
木造の場合「柱や梁が抜けるかどうか」が、
希望の間取りにできるかどうかの大きなポイントになります。
昔ながらの和室が繋がった田の字型の間取り
そんな間取りは若い方には好まれないことも多いと思いますが、
裏を返せば、簡単に部屋を繋いでLDK化ができるということ。
反対に部屋が小割になっている場合には壁の中にある柱や
天井裏にある梁組によって部屋を繋げにくいこともあります。
⑤何を求めるか
①~④までを複合的に考えて、
「自分たちにとって何が大切か」によって
新築とフルリノベーションのどちらが「自分たちにとっての」正解かが分かれます。
車にたとえるとわかりやすいかもしれません。
予算に上限がない場合、新車(新築)が最有力になる場合が多いと思いますが、
絶版車(古民家)だけどどうしてもこの車が欲しいという場合もあるでしょう。
予算が決まっている場合でも、
家族が四人だけど狭くても新車が良い(小さいけど新築)という場合もあれば
家族がゆったり乗れるなら中古車が良い(大きな中古物件)な場合もあるでしょう。
カッコいいスポーツカーが好みの方もいれば(デザイン重視)
ゆったり乗れる静かな車(断熱・耐震などの性能を重視)が
お好みな方もいるでしょうし、どちらも欲しい方もいるでしょう。
そして、希望はしていたけど、いろんなことを複合的に考えたら
最終的には最初とは違う結果になることもあるでしょう。
(新築希望でリノベーション もしくはリノベーション希望で新築)
その検討過程をどうするか
そこが一番大切で、解決方法は実はひとつしかありません。
車なら失敗してもまだ買い替えができますが、
家は高額なのでそうはいきませんのでいろんなケースを考えたいですよね。
次回はどうやって最終的に決めればいいかを書きますね。