夢前のアトリエ見学ご予約はこちらから

分離発注の注意点

さてさて、今日は分離発注について

新築でもリフォームでも、一般的には工務店やハウスメーカーにお願いしますよね。

これを一括発注といいます。

元請けである会社が一括して現場を管理して電気屋さんや水道屋さんなどを手配して工事を完成させる方式です。

対して、分離発注と言って、お客さまが大工さんや電気屋さんや水道屋さんなどと

それぞれに個別契約をして工事をする方法もあります。

工事すべてを分離発注することは稀だと思いますが、

たとえば「親戚が水道屋さんだから水道工事だけ直接発注します」ということもあるだろうし、

インターネットでの商品購入やエアコンなどの家電、エクステリア工事などを別発注とすることもあるでしょう。

「分離発注をすれば元請けを介さないぶん安くなるんじゃないの?!分離発注いいじゃん!」

と思うかもしれませんが注意点がいくつかあります。

まず、

「日本メーカーだから壊れることなんてない」

はあり得ません。

数年で基盤が故障するなんてことは、実はよくよくあります。

でも「いまどき、すぐに壊れるなんてないだろう」と思っていませんか?

分離発注するにあたって「物は壊れるもの」「もし壊れたら」ということを

常に思っておく必要があると思います。

それを念頭に以下をお読みくださいませ

お見合い

責任不明

これが分離発注の一番怖いところです。

たとえば、浴室と洗面脱衣室のリフォームを建築会社にお願いし、

給湯器や洗面化粧台の商品と取付をお客さまが家電屋さんや

インターネットで別手配していたとします。

そして、いざ洗面化粧台を取り付けようとしたときに

取付業者が「取り付けるために必要な壁下地がありません」と言ったとしたら?

リフォーム会社は「洗面化粧台に関しては商品別手配ですので

自社の管理下にありません」と言いますし、

取付業者の回答は

「下地が入っていないので私たちで下地を入れる場合には別途料金が発生します」

「建築工事で下地を入れるのが当たり前だ、

建築会社さんに下地工事をしてもらってください」

のどちらかだろうと思います。

どちらの言い分も大きく外れていません。

リフォーム会社が一括で請け負った場合、

現場監督が大工さんに「ここにこんな形の洗面化粧台が付くから

下地をここに、こんな風に入れてね」と現場管理しています。

取付業者が単独で請け負っていた場合も同じですし、

あらかじめ見積段階で計上しておくことなので

工事の時になって別途料金が発生することもありません。

ですが、分離発注の場合、お互いの業者は見ず知らずの他人同士

阿吽の呼吸が取れません。

それから普段の仕事の流れもお互いに違いますから、

お互いの「普通は、、、」が違います。

お互いに自然な流れで「あちらがするだろう」と思って事を進め、

工事の時になって「あれ?!」が出てくる。

これが分離発注の注意点①「お見合い」です。

また、工事後にもしも洗面化粧台の水の勢いがなんとなく悪いなどが

起こったらどうなるでしょう?

建築会社は商品的な問題と言うでしょうし、

取付業者は建築工事の配管の問題だと言うでしょう。

これが注意点②「責任不明」です。

責任不明なことは本当によく起こります。

なぜなら人の感覚が絡むからです。

水の勢いが強いと感じるか、弱いと感じるかは人それぞれ。

どちらかの業者が一括して受注していたら、

もしもその時に解決しなくても「様子を見ていただけますか」と

継続して見守ることができますが、

分離発注で商品的に問題なく、建築工事の配管にも問題ないとなると、

いじわるとかそういうことではなく、どちらの業者も安易には踏み込めないのです。

「直接取引することで中間マージンをなくして安価にする」

テレビで激安店舗などの番組の時によく聞く話ですよね。

そのかわり、番組を見ているとよくわかりますが、

商品の買い付けから、配送、商品鮮度の管理などすべて自社で行っていますし、

なにかあってもすべて自社の責任です。

費用的にも中間マージンがなくなったからと言ってまったく

タダになったというわけではありません。

代理店に支払う費用はないけれど、

商品管理のためのシステム構築や倉庫や自社社員を教育する費用、

自社社員の労力(給料)は発生します。

分離発注は商品代など目に見える費用は安くなるかもしれません。

しかし、工事にかかわる人たちの調整、現場指示をして現場を管理する費用などの

目に見えないお金と労力がなくなるわけではなく、

その部分をお客さまが担うことになります。

そして一番大切な「保証」「責任」もお客さまが担うことになります。

ここが一番の注意点です。

代理店を通すということは同時に保証や責任も担うということなのですから。

実は私たちプロでも時に代理店を通さず発注せざるを得ない場合があったりします。

商品によって代理店を通さずに建築会社と直接取引しかしない会社があるんです。

少し前、その形態の発注をしました。

発注先の会社ははるか離れた県外にあり、注文後に宅急便にて発送してくれて、

その連絡もきちんとくれました。

ただ、商品が届く日は決まっているけど時間はわからないとのこと。

時間がアバウトになる旨を取付業者さんに伝えて商品を取り付ける手配をし、

待っていました。

具体的な日を入れたほうがわかりやすいと思うので4月15日に

商品が届くことになっていたと仮定しますね。

その商品は外壁に取り付けるもので、足場がないと取付ができません。

で、ちょうど足場解体の日程と商品配達の日が重なったので

4月16日中に商品取り付けをお願いする業者さんの手配をし、

足場解体を4月17日として商品が届くのを待っていました。

ところが4月15日の15時を回っても商品が届かない。

最近はネットで配送状況を確認できるので見てみると、

まだ発送先の県を出ていない様子。

「今日届く予定になっているのに、

配送予定当日のこの時間でまだ県外?おかしい、、、」

宅急便って届くの早いですよね

注文したら次の日の午前には届いて「早いなー!びっくり!」といつも驚くのに、

発送後1.5日たってもまだ県内にすら届いていないので

宅急便会社に電話しました。

そしたら電話応対をいただいた方から「確認します」との返事でした。

折り返しの返事がなくて、日が暮れる時間が迫ってきたので16時になってまた電話しました。

そしたら「確認します」と同じ返事をされましたが、連絡がなかなかきません。

17時前になってようやく宅急便の会社の上司であるAから連絡が入りました。

「すいません、そちらの市の営業所に届く予定が2つ隣の市に届いています。

明日の配送ではだめですか?」

えええーーーーーーー???!!!

商品が届くのを待って取り付ける予定になっていて、

取りつけ業者も待たせているし、翌日に足場解体も予定しているので

なんとか早く届けてほしいとお願いすると

「トラックにもう積み込んでいて、荷台満タンに荷物を積んでいるので

荷物が取り出せない」

だそう、、、

これはいかんと思って、

「その営業所はどこですか?私が取りに伺うことも含めて早く商品を

受け取りたいです」と伝えると

営業所にあるのではなく、

正確には2つ隣の市に向かうトラックの中にあると、、、、

で、そのトラックは今、隣の県にいると、、、、

ええええーーーー!

隣の県でもどこでもとにかく日が暮れるまでに早く商品を受け取りたい

でないと取付業者さんに迷惑をかけるだけでなく、

翌日の足場解体もできずに2社に迷惑をかける旨を話したのですが

「いま、トラックの運転手は高速道路のSAで休憩をしている。

法律で決まった休憩時間なのでトラックを運行することができない」

とのこと、、、、

そして「足場解体の前に明日の朝早くから取り付けてもらうことできませんか?」

と言われました、、、苦笑

当日中の取り付けを視野に入れながらあわてて取付業者さんと

足場屋さんの翌日朝の調整をお願いしました。

Aには翌日朝なら指定時間に届けますと言われたものの、

もし届かなかったらそれこそ2社に迷惑をかけるので

その日のうちに届けてほしいとお願いしました。

すると18時を回って別の担当者Bから連絡があり、

「別の営業所経由で配送します。

時間から計算すると余裕をもって22時になります」

仕方ないので了承し、22時に受け取り場所である現場に向かいました。

ところが22時を回っても届かない、、、

22時半になっても届かない、、、、

担当者Aに連絡をするも携帯電話の電源を切っており繋がらない、、、

Bに連絡しても同じく電源を切っていて繋がらない、、、

会社にかけても営業時間外のアナウンスが、、、

23時前になり、どこに連絡することもできずに困り果て、

帰ろうとしたときに車のライトが、、、

約束の時間から遅れていることを運転手に伝えると

「はぁ??配送の時間も何も指定されてないんですが、、、」

もう呆れてしまいました、、、

ちなみに「宅急便と言えば?」と聞かれて誰もが知っている会社です、、、、

そして、担当者A,Bともに商品がまともに届かなかったのに

何の連絡もありませんでしたし遅延の保証もありません。

もちろん責任をとってくれることもありません。

普段、私たちは代理店を通して商品を買います。

↑のようなことになった場合、責任をもってどんなことをしてでも

迅速な対応をしてくれるからです。

また、工事完了後のアフターメンテナンスもしかりですし、

私たちが気づいていないことに気づいて

商品間違いが起こらないように訂正してくれたり、

なくてはならない存在です。

代理店を通さずに物を買うということは、

その管理、リスクを私たち自身が背負うことになる。

↑みたいなことが起こっても費用負担も責任もなにもかも

私たち自身で何とかしなくちゃいけない。

直接発注のみしかできないので仕方なかったというものの、

代理店の大切さが改めてとてもわかった案件でした。

お客さまが分離発注する場合も同じようなリスクが存在します。

予算はとても大切ですが、建築は基本的に安いにはワケがあります

それから、

デメリットなく、なにもかも得をするということは滅多にありません。

「分離発注をして安く済んだつもりが、

工事の時になって別工事や別費用が掛かることがわかって

追加で部品を買う必要が出たし、工事連携もうまくいかず結局は損をした」

ということがないようにメリットとデメリットの両方から検討したいですね。

解決方法として

デザインがとても気に入っているなどの関係から

分離発注せざるを得ないときもあると思います。

そんな時は、分離発注する会社に建築会社の管理下に

入ってもらうといいかもしれません。

工事管理費はかかるかもしれないけれど、

完全分離発注よりはリスクが減るとは思います。

それでも「減る」であって「ゼロ」にはなりません。

商品代には当然に「責任」が含まれます。

分離発注をするということは責任を外すということ

そのリスクをどう考えるかが、分離発注をするかどうかにも繋がると思います。

分離発注の際には十分な検討をお勧めいたします。

目次