自分さがしの旅

若い頃からずっと「自分の中で変わらない芯」を探してきました。

自分の芯=すべての考えの根元で判断基準になるもの

コロコロと変えるものではないから長期的に自分の芯になるものを

若いころからずっと探していました。

デザインの良さ

サービスの良さ

価格の安さ

技術の良さ

などなど各社がウリ(芯)にしていることはたくさんありますよね。

そんなとき、とある講習で「なるほど」と思ったことがありました。

講師がこう話し始めました。

「車を買う時を想像してください。

カタログを見てオプションにゴールドエンブレムが

あるのを見つけて選択した。

革シートも選択したし、色も特別塗装色にした」

このあとに続く講師の言葉が今でも頭に残っています。

「自分では”俺だけの特別仕様”と思っているかもしれないけど、

同じ仕様の車は街中にたくさんありますよね?

それと同じで自社だけの特徴と思っていることは

本当に自社だけの特徴ですか?」

確かにそうだ、、、

誰もが「ウチの会社はデザイン良くて、

技術もバッチリで、安い」と思っているけど、

例えば県内、国内で誰よりも突き抜けているような

特徴があるかというとどうだろう、、、

少なくとも自分の会社はそうじゃない、、、

その時、そう感じました。

そして、一層、「自分だけの特徴」を探すことを

常に意識していました。

自分の芯を見つけ、その芯をどう肉付けするか

すなわち、どう芯を表現するか

デザインにこだわろうと考え、手書きパース講座に通ったり、

サービス向上のためになにができるか試してみたり、、

いろんなことを試してみましたが、なかなか突き抜けません。

そんなとき、県外の会社で手刻みで長期優良住宅を

 施工している会社を知り、すぐに見学に行きました。

そして、ようやく自分の芯を見つけます。

日頃、技術を大切にしてるのだから

それを芯にすればいいじゃないかと気づきました。

そこからは早かったです。

たまたま、かなり著名な構造設計の先生に

10年ほどお世話になるうちに構造設計で大切なことを

学べていたので、手刻みという大工技術に

構造計算をドッキングすることとしました。

大工技術は親方から脈々と引き継いだもので

大きな大きな経験ではありますが、

例えば梁の大きさの感覚も大工の経験には根拠がありません。

そこで、構造計算を使って大工の経験に

根拠をきちんとつけることとしました。

しかし、ここからが大変でした 汗

構造計算書を使う=構造計算書を読み解かなければならない。

木造二階建ての新築での計算書はだいたい550ページくらい。

そのうち、計算結果はほんの一部

だけど、計算過程がわからなければ現場で的確な指示が出せない、、、

一般の方の誰もが1級建築士を持っていれば簡単に読み解けるのでは?

と想像しているでしょう。

断言します。

設計事務所勤務であろうが、大手ハウスメーカー勤務であろうが、

工務店勤務であろうができません!

建築士としての知識はあります。ただ、それはあくまでも試験向けの知識であって、

現実としては普段から構造設計業務をしていない限り難しいです。

なので、ほとんどの人は計算結果をまとめたものを単に使っているだけで、

計算過程は知りません。

計算式自体は建築士試験の時によくよく泣かされた式ばかり、、、

よみがえる試験勉強のおぞましさ 笑

試験勉強のときは「計算式」としての認識しかないのですが、

現場でどう活かすかを並行で進めるうちに計算式が現場の梁と柱に

見えてきたりします。

現場では逆に梁や柱が計算式に見えてきたりもします。

力の流れ、これが見えるようになるとちょっと成長

結局、ようやく基本的なことがある程度理解できるまで10年かかったと思います。

なぜそんなにかかるのか?

それは一軒として同じ間取り、同じ条件の家はないからです。

新築・リフォームを問わず、大工が違えば組み方も違う。

梁の大きさ、接合部をどこに取るか、通り柱の考え方などなど

家の骨格には大工の工夫である個人差が大きく出ます。

それを何軒も経験して初めて基本的なことがわかってきます。

机の上の計算と現場の両方を把握する

これにはとても時間がかかります。

そうやって今の私があります。

すべてはお客さまの安心のため。

いまも毎物件、構造設計者と毎日のように連絡を取りながら現場を管理しています。

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