土地付き中古住宅を買う利点②

土地付き中古住宅を買うことは利点がたくさんある

と、先日書きましたがこれには大きな条件があります。

それは建物の目利きです。

いくらフルリノベーション用の商品がたくさんあって、

やりやすくなったと言いながら

そもそも「フルリノベーションできる建物なのかどうか」があります。

それにはいくつかの意味があって、大きくは次の4つです。

①フルリノベーションをしても長いあいだ住むことができない

②法的にフルリノベーションに適さない

③間取り的にフルリノベーションに適さない

④予算的にフルリノベーションに適さない

この判断、誰が得意でしょうか。

不動産屋さんは土地のプロであっても建築のプロではありません。

お客さまももちろんプロではありません。

となると、建築会社に判断してもらうことになると思うのですが、

①~④の判断は建築会社の知識と経験と言っても過言ではありません。

ですが、現調がきちんとできる会社かどうかは、お客さまでは判断つきません。

よく聞くパフォーマンスとして、

床にレーザーを置いて不陸がどれくらいあるかを

お客さまの目の前で測ったりすることがあるようですが、

床の不陸は工事の際に直して当たり前なので、

現時点でどうなっているかを測ることはまったく関係ありません。

ちなみに、床レベルは築年数20年以上の建物なら、

たった2mのあいだで3センチくらい違うことなんてザラです。

それは建物が欠陥的に歪んでいるのではなく、

長年のうちに建物本体の自重が効いてきているからです。

少し話が脱線しますが、

特に和風の家では、天井や入口建具の上枠の鴨居という部材を

平行に施工するのではなく、

あらかじめ中央あたりをほんの少し上に引き上げた状態で施工してあります。

文字にするとなかなか想像しにくいと思いますが、

定規の両端を持って、真ん中にオモリを乗せると

定規の真ん中が逆への字に垂れますよね。

鴨居や天井は垂れてきても建具の開閉などに支障が出ないように

中央あたりを新築時にへの字型にムクらせてあるのです。

天井裏の梁がへの字型に施工されているのも同じ理由です。

これが逆への字なら重みに耐えきれず梁が折れます。

じゃあ天井と反対の床面はどうなるかというと、

天井の逆で床は上から建物の自重が掛かるものの、

地面からの反発する力のほうが大きい場合に

1F床や建具の下枠である敷居は力学的にはへの字に変形します。

話、戻って、、、

こういうことを根拠を持って説明できるかどうかは大切です。

大工さんなら当たり前にどう施工したらいいか説明できます。

親方から脈々と施工のポイントを叩き込まれているからです。

でも、構造力学的な説明は大工さんの領域ではないと思います。

建築で大事なことを究極の一言で言えば「もつか、もたないか」

木造建築は、はるか昔から存在し、建てては地震で壊れたりを繰り返す中で

脈々と培った「壊れないための知識」を現場で具現化しています。

しかし、その知識を数値的に証明することは構造設計の出番になります。

東京スカイツリーの技術は五重塔のメカニズムを使っているのをご存じでしょうか

東京スカイツリーの心柱制震システム

これって、脈々と続く技術を現代の構造計算で

目に見える数値化した一つの例と思います。

技術というものは素晴らしいもので、とても大切なものですが、目には見えません。

目に見えない、そして言葉でも簡単に説明できないので、

それを説明できるように私たちも「手刻み」という大工さんの素晴らしい技術を

構造力学とドッキングして、技術が目に見えるようにしました。

目に見えるようにするためのは、力の流れがわからないとできませんが、

建築士を持っていればそれができるかと言えば「絶対に」不可能です。

なぜなら、構造力学は勉強していても、

それを実際の現場でどう活かせばいいかは学ばないからです。

こればっかりは現場と構造設計を実務ですりあわせないと知識は手に入りません。

私の感覚的に、その知識と経験は10年かかってようやく一人前の入口だと思います。

これはフルリノベーションに適しているかどうかの①~④の前段階であり、

現調がきちんとできるかどうかは

「その土地・建物を購入すべきかどうか」という根本的な話に

なってしまうのでとても大切であり、①~④にも直結する話です。

次回、①~④のポイントについて書きますね。

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