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モノづくりの難しさと価値

先日、チェア作り体験をさせていただきました。

建築に限らずモノづくりには

機械で作る場合と手づくりの2種類があり、

どちらにもメリットとデメリットがあります。

機械で作るメリットは大量生産できることと、

それによるコストダウンでしょうか。

そのかわり、複雑な加工などが難しかったりします。

反対に手づくりは大量生産ができないぶん、

機械には対応できない細かな作業が可能です。

両者の違いはどこにあるのでしょう?

私は「味」だと思います。

機械で作るためには機械に加工指示をしなければなりません。

それはすべて数字で表されます。

「この部分を30度で2ミリ削れ」といった数字

100個つくって100個とも完璧に同じに作れます。

対して人が作る場合、同じ寸法で仕上がるとしても

たとえば木目をどう活かすかや、

「あとちょっと」の手ごころを付け足すことができます。

どこかあたたかさや柔らかさなどが感じられます。

その差は感性の差とも言えると思います。

機械に感情や感性はありませんから指示された通りに作るだけ

人が作る場合には、必ず感情や感性が入ったモノづくりになります。

テイストとも言えると思いますが、

数値には表れない作り手の味が必ず入る

それが手づくりの最も優れているところだと思います。

今回、チェア作りに参加させていただいたのは

「味」を知るため、そしてモノづくりの難しさを知るためでした。

脚部の枠は工房の方が用意してくれていました。

そこに紐を使って座面を作ります

片側ずつ紐を通し、

時にはこんな機織のような道具を使い、

どんどん編みあげていきます

完成!

先生の作品

私の作品

表向きは同じようにできていますが

裏面を見てみると差は歴然

先生の裏面

対して私の裏面はバラバラ 苦笑

先生は商品を作る感覚ではなく、

私たちに説明する気軽な感じでささっと組んでも

このキレイさ

私はめっちゃ必死で丁寧にしたのに完成してみるとバラバラ 笑

やはりプロはすごい!

美味しいお昼ご飯とコーヒーをいただきながら

11時くらいから17時くらいまでかかってようやく完成しました。

ここで想像いただきたいのですが、、、

みなさんがもしこのチェアを買うとしたらいくらで買いますか?

1万円?2万円?

おそらくそのくらいの金額までの想像ではないでしょうか。

でもでも実際にもしも商品として作るとしたら、、、

木の塊からチェアの脚の部材を切って削って作り、

紐をかける釘を打ち、

塗装をし、

そして座面を編み上げる

もちろん木材費も、釘などの費用も、塗装費も、

使う道具の減価償却費もかかります。

もちろん職人さんの日当も。

はたして数時間で可能でしょうか

言い換えると、ご想像の値段で制作可能でしょうか。

ハンドメイドのチェアとなると一脚あたり

だいたい10万円から15万円しますが

それは、それだけ手間がかかっているのです。

「いや、そんなに高いものは必要ない」と

思う方もいらっしゃるでしょう。

それはそれで良いと思います。

手づくりだけがすべてではないので。

ただ、どこにもない無二の「味」を求めるのなら、

そして味を知ってしまったのなら、、、

おそらく機械製品には魅力を感じなくなるでしょう。

ですが、高価なものですから簡単には買えないと

思う方もいるでしょう。

弊社を飾るこのチェア

実は2万円以下です。

アンティークでとても安価に買えました。

ハンドメイドと言ってもアンティークなら安価にも買えます。

デザインや味には見た目が似ているけど価格はいろいろあります。

これはたとえば内装をクロスを使うか、

左官塗りにするかも同じ。

クロスの方が安価ですが、

うまく使えば左官塗りに似たテイストを出せます。

家具も新品で高価なものもあれば

アンティークで安価に味があるものもあります。

新品ならぜひこちら TENONさんTOP│TENONtenonは兵庫県佐用郡佐用町の山間にある椅子工房。無垢材を使ったシンプルで軽量な椅子を制作しています。店舗用のオーダー家具も承ります。www.small-axe.jp

今回、チェア作りをさせていただきました。

曲線、そして部材の絶妙な細さ

そして、そして、ホゾを使っての技術

どれも素晴らしい「味」があるチェアが揃っています。

今回、チェア作りの難しさとその価値を

とても感じることができました。

ありがとうございました。

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