フルリノベーションの楽しみのひとつに
「背景を読み解く」
があります。
現調をしている時も、工事をしている時も
なぜこの納まりになったんだろう?
なぜこれをしてないんだろう?
という「新築時のハテナ」が必ずあります。
あるあるな話で、そういうポイントを見つけた時に
「どうしてこんなことがしてあるんだ?」と騒ぐ業者さんや
職人さんがいます、、、
騒ぐ主な理由は、、、
ひとつは思ったことをそのまんま口に出してるだけなのと、
もうひとつは「自分ならこんなことはしない」
すなわち「自分ならもっとしっかりできる」とアピールしたい
この二つの合わせ技が多いかなと思います。
でも私はそれがとても嫌です 苦笑
なぜなら、新築時の業者さんの肩を持つわけではなくて、
新築当時、お客さまが「この会社なら信用できる」と
思って新築工事をお願いしていること
それから、なにか理由があってそうしているかもしれないからです。
それがはっきりしていない状態で騒ぐのは
「新築時の業者選びが悪かったですよ」
「こんな変な工事してますよ」
と、お客さまを不安にさせるだけ。
いつの時代も10年もすれば標準的な工事方法や
使う商品も変わりますので簡単に「なぜだ?!」とは言わず、
何十年前の工事として標準的だったかどうかという目で見て、
そして、新築当時になぜそうしたのかを紐解いたうえで
方針を決めることでお客さまを不安にさせることなく
現代の性能まで押し上げることができると私は思っています。

既設の窓庇の工事跡
大きくせり出した庇を支えるために柱が建ててあったのですが、
土間コンクリートをカットして
足元の束石をやり直したような跡があって
「ん??」って思ってたんですが、
壁を解体していて原因判明しました。
写真は庇用の腕木の施工跡。
そこから想像すると、おそらくにはなりますが、
元々は腕木を使って柱を建てるほどではない庇としていたのを
取り壊して軒の深い柱付きの庇にリフォームした感じ。
だから土間をカットして束石をあと施工としていたのでしょう。
もしかしたらリフォームではなく、
新築工事中にお客さまから変更願いがあってのことかもしれませんが
とにかく、工事の不良ではなくて、何か理由があっての
あと施工を起因としてのこととはっきりしました。
こんな感じでいろんなことを紐解くことは、
知識と経験にも繋がります。
また、お客さまにもきちんと説明することに繋がり、
安心していただく一助にもなります。
フルリノベーションは既設建物の声を聞くことで
より良くなります。
当時のことを紐解くこと、フルリノベーションには必須ですよ。