建築に詳しくない方でも安藤忠雄さんの名前を知っている方は
多いのではないでしょうか。
安藤建築のなかで有名な建物「住吉の長屋」はご存じでしょうか。
道路に面した側以外、すべてを隣地に完全に囲まれていて、
しかも隣の建物との距離もほぼゼロ
鉄筋コンクリート造2階建て
間取りや模型などがたくさんネット上にありますが、
1,2階ともに間取り的には建物を3つのスペースに割り、
両サイドに部屋、真ん中に中庭の配置で
外壁面に窓を取れないので中庭から上空から採光と通風を確保している住宅です。
左右の部屋のあいだに中庭がある、ということは?
右の部屋から左の部屋に行くためには雨の日は傘をさして移動する
という大胆な問題がありますが、
そこはウィキペディアに施主様の「想い」も記されています。
住吉の長屋に限らず、周りを隣地に囲まれて
採光や通風に難ありな物件はたくさんあります。
わたしたちも今、計画中ですが、
フルリノベーションの場合には
外壁をどうやって補修するか
窓の入れ替え、もしくは窓を塞ぐ場合どうやるか
2階にトイレなどがなかった時代の建物の場合、どうやって給排水配管をするか
などなど、間取りなどの検討と一緒に
「図面上では成立しても実際に工事ができるかどうか」という問題を
解決していかないといけません。
また、寸法の決め方にもポイントがあります。

「280」「350」「315」の数字の意味わかりますか。
「二尺八寸」「三尺五寸」「三尺一寸五分」
ミリに換算すると
850mm 1060mm 955mm
現代の建物はミリ表示で寸法を決めていますが、
昔の建物はすべて尺貫法で寸法を決めてあります。
建築の基準となるひとマスのことをモジュールと言います。
910mm角
955mm角
985mm角
1m角
がメジャーなモジュールです。
↑の場合はというと、、、
955mmがひとつ当てはまっていますが、850mmと1060mmの意味は?
955mm+105mm=1060mm
955mm―105mm=850mm
105mmは柱一本ぶんの寸法です。
すなわち、955mm×3マスの中で柱一本ぶんズラして計画してあるということ。
フルリノベーションで、ましてや図面上だけでなく現地での工事が可能かどうかを
プランと同時に「深く」検討できなければいけません。
そこが「どの建築会社を選ぶか」に大きく関わってきます。
「いくらかかりますか」は確かにお客さまの一番気になるところと思いますが、
それよりも先に「この工事をする知識と経験がありますか」のほうが
はるかに大事です。
いくら安くても知識なく柱や梁を抜いてしまったり、
工事がずさんでは本末転倒なので、、、、
難しい条件になればなるほど、まずは知識と経験の深さが一番大切になるので
注意が必要です。