とうとう梅雨が始まりましたね。
この時期の工事で一番大変なのは基礎工事です。
コンクリートを施工中に雨が降ってきたら大変なことになるんです 汗
なので天気予報とにらめっこしながら工程管理をします。
「でも、もし雨が降って鉄筋とかが濡れたらどうなるの?」
気になるところですよね。
根拠を持って「大丈夫」と言える会社がどのくらいあるでしょうか。
実は雨対策は基礎工事が始まったところから始まっています。
基礎工事は簡単に工程を説明すると
まず土を掘って、
次に砕石などを使って下地を作り、
防湿シートと捨てコンクリートを施工してから外周部の型枠を施工し、
鉄筋を施工したあと、まずは土間の部分をコンクリート施工
そして、立上りの部分を型枠を組んでコンクリートを施工して出来上がります。
この工程の中で各社の差が大きく出るのは捨てコンクリートの工程です。
捨てコンクリートとは、その名の通り「捨て」コンクリート
建築基準法でも基礎に含まれないとされていて、基礎工事の準備工とも言えます。
役目は写真に写るように基礎の墨出し(位置だし)など多彩にわたります。
「捨て」コンクリートですからとても粗いのですが、
基礎工事において捨てコンクリートは重要な役割を果たします。
私が知る限り、大手ハウスメーカーを含めてほとんどの会社が
外周周りのみ捨てコンクリートを施工しています。

外周周りとは写真の下段のところです。
弊社は外周周りのみならず基礎の中央の部分も含めて
基礎全体に捨てコンクリートを施工します。

この差はどんな事へと繋がるのでしょう?
基礎工事では鉄筋を組むときも、コンクリートを打設するときも
当然に基礎の中を歩き回ります。
鉄筋を組む際にはコンクリート製のサイコロの上に鉄筋を載せますが、
もし捨てコンクリートが全面施工されていなかったら?

サイコロはこんな感じ
もし捨てコンクリートが施工されていなかったら防湿シートに
サイコロがめり込んでこんな感じになります。

わかりやすくブルーシートを防湿シートに見立てていますが
右側のサイコロがめり込んでいるのがわかると思います。
鉄筋の上を人が歩くとこんな感じでめり込んでしまいます。
こうなると、せっかくの防湿シートが破れます、、、、、
それからもっと大切なこととして
基礎の規定には「かぶり厚さ」という規定があります。
鉄筋コンクリートは鉄筋とコンクリートの融合体ですから
鉄筋のまわりをコンクリートで覆うことで成立する構造です。
鉄筋を覆うコンクリートの厚みのことを「かぶり厚さ」と言い、
各所に応じて何センチ必要かが決まっていて、
サイコロは均一にかぶり厚さをとるための役割です。
捨てコンクリートを施工していなかったらサイコロがめり込むわけですから
正確なかぶり厚さが確保できません。
かぶり厚さは何のためにあるのかというと、、、、
鉄筋コンクリートは鉄筋とコンクリートの良いところどりの構造で、
硬いけど柔軟性のないコンクリートと
柔軟性はあるけど単独では建物を支えることのできない鉄筋の組み合わせ。
そして!
鉄筋は鉄ですから外気に触れていると錆びます。
錆びる=酸化する
なのですが、コンクリートはアルカリ性なので
鉄筋をコンクリートが覆うことで錆を防ぐ(酸化するのを防ぐ)のです。
かぶり厚さは強度的なこともさることながら
外気(水分)から鉄筋を遠ざけるために規定されているので
捨てコンクリートがなくて正確なかぶり厚さが取れなければ
鉄筋は錆びやすくなる可能性があります。
ここで一番最初の話、「鉄筋がもし雨でぬれたら?」に戻ります。
「錆びる」とは、何十日も外気にさらされて、
こすったくらいでは取れないくらい錆びた状態のことを言います。
ひと雨程度では表面が赤くなる程度で、一般的には錆びているとは言いません。
むしろコンクリートの付着がよくなりますので害はありません。
また、コンクリートが施工されてしまえば外気から遮断されるので
錆が進行することもありません。
ですが、かぶり厚さがきちんと取れていなかったら
外気までの距離が近いわけですから後々、悪影響がある可能性があります。
だから捨てコンクリートを弊社では全面施工して、
正確なかぶり厚さを確保しています。
基礎工事は耐震等級や断熱性能とは違って一般の方にはわかりにくい工程です。
だからこそ各社の知識と経験でとても大きな差になりますので
注意が必要ですよ。