建築で一番大事なことはバランスをとることです②

前回、土地のバランスについて書きました。

その続きとして今回は建物のバランスについて、、、

建物のバランスってなに???

と感じるかもしれないのですが、大枠と細部の二つに分かれます。

大枠としては単純に建物全体をローコストにするかどうかです。

土地に関して、たとえ小さくて高価でも立地条件にこだわって

土地に予算を大幅に回して、

そのかわりに建物の質をほどほどにしながら建物もできるだけ大きくし、

全体予算を調整できないかな、、、

もしかしたらこんなことが思いつくかもしれませんが、

はたして可能でしょうか。

答えはほとんどのケースでNOだと思います。

建築資材の高騰する前なら可能だったかもしれませんが

建築資材が高騰している今ではその考え方はうまく機能しないでしょう。

いま、国の施策は省エネ化、長寿命化の義務化に舵を切っていて、

どんどん基準を上げていっています。

ZEHも2027年に今よりもさらに15%性能を上げる予定になっています。

建物の建て替えサイクルが長くなれば木材伐採が減り、資源を守ることになり、

省電力化することで石油や石炭の使用量が減って、

温室効果ガスの発生などを押さえることもできる。

しかし住宅が高性能になればなるほど高価にもなるという一面もあります。

それは安全機能がなかった時代から段々と安全に対する意識が高まり、

衝突軽減ブレーキなどが義務化されて安全性が高まって

そのかわりにどんどん高価になっている車と

同じようなイメージでしょうか。

ローコストにはローコストのメリットとデメリットがあります。

メリットはもちろん安いこと

そのかわり、断熱性能や耐震性能も国が推奨している性能、

すなわち補助金要件を満たす水準までは届かないので万全にとはいきませんし、

選べる物も、打ち合わせ回数なども含めて、いろんなモノ、コトが制限されます。

ローコストの範囲である限りはやはり限界があるでしょう。

「でもローコストで十分じゃないの?」

そう考えるかもしれませんが、本当にそうでしょうか。

まず、性能の違いが生活にどう影響するのか、

なかなかピンとこないと思いますので

車にたとえて説明しますね。

燃費が25キロ/リットルのハイブリッド車と

ガソリン車で燃費が10キロ/リットルの車

この2台で永遠に走り続けるとします(新築で建てて住み続けるとします)

平地をまっすぐ一定のスピードで走るとしたら(気候の良い春秋)

ハイブリッド車は何の気兼ねもなく走って

高燃費になりますが(エアコンの稼働は最小限になる)

ガソリン車は平地を走ってもハイブリッド車にはかなわないでしょう。

もし、信号がたくさんある道だったり、

曲がりくねった道でアクセルオンオフを繰り返したり、

渋滞したりがあったら(春秋でも急な暑さや寒さがあったら)

ハイブリッド車は問題ないけど、ガソリン車はさらに燃費が落ちるでしょう

(エアコン稼働率が大きく違うでしょう)

でもでもここまでは想定内かもしれませんね。

でも、ひどい上り坂が続いたりしたら?(異常な酷暑や厳しい寒さが続いたら?)

それでもハイブリッド車は許容範囲内の燃費だと思います

(エアコンを少し強める程度で快適性や生活には大きく影響しない)

ガソリン車はというと回転数を上げて走る必要がでてきて燃費が落ちますよね。

(快適ではないし、エアコンをずっと強運転にするので光熱費が上がる)

「でも、ずっとひどい登り坂は続かないでしょう?」

 (酷暑や厳しい寒さは続かないでしょう)

確かにそうですね。

ですが、去年と今年の暑さは6月から10月までずっと異常でしたよね。

おそらくこれからは最高気温が35度を超えるのが当たり前になりそうですよね。

そうなると、ハイブリッド車とガソリン車の給油回数の差は

酷暑が続けばもっと差がついてきますよね。

いまやガソリンも高騰してて、

小さな車でもガソリン1回の給油で5000円かかる時代

給油回数の差が月2回だったとしたら1万円

それが酷暑が続けばもっともっと差が大きくなります。

「でも、それでも差は多くても月2万円ほどじゃないの?ハイブリッド車とガソリン車を買う初期費用の差で考えたらガソリン車のほうがお得では?」

確かにそうですね、車のように数年で乗り換えるならトータルで考えたときに

ガソリン車のほうが適していることもあるでしょう。

ですが、家は35年ローンですから車のように数年で建て替えとはなりません。

光熱費が月2万円も違えば、

2万円×12ヶ月×35年=840万円の差にもなります。

実際には高断熱の家と低断熱の家では体感と実際の光熱費を合計したら

月2万円どころではない差があると思います。

エアコンを稼働していてもうんざりする暑さ、寒さに加えて、

システムキッチンなどの装備も自分好みではなく、

家全体としても収納が少なかったり部屋が狭かったりする、、、

はたしてそれがバランスの取れた我が家の心地よさでしょうか。

後悔しないためには、まず建物の性能をどう設定するのかがとても大切です。

関西なのに厳しい冬を想定した北海道基準にするのは正直やりすぎと感じます。

かといって酷暑になるとエアコンを常に全開にしなければならない性能でも

ダメだと思います。

体感を心地よくしながら予算とのバランスをとる。

この設定によって家の大きさも出来ることも何もかも変わります。

次に建物細部に関してですが、

これは建物のバランスは運動会の綱引きでイメージしましょう。

以前にブログに書きました。

予算、性能、デザインの綱引きを上手にすることで建物のバランスは整えられます。

ですが、これに関しても「それがいい」「好みではない」と

判断できるための材料が必要ですよね。

その道しるべをするのが建築会社になります。

バランスの取れた住宅にするためには

「この中から選んでください」の規格住宅ではなく、

やはり注文住宅が適しています。

そして、注文住宅と言っても服で言うイージーオーダーとフルオーダーがあり、

フルオーダーの中でも様々です。

土地と建物は当然に連動し、ご自身にとってベストなバランスを探すためには

一番良いブレイン(建築会社)を見つけることが最も大事だと思います。

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