建築に限らず物の価値の考え方っていろいろありますよね。
安いから買う
高いけど買う
高くても買う
などなど、いろんな考え方があると思います。
物の価値は何があっても変わらない不変なものと、
状況によって変わるもののどちらもあると思います。
たとえば趣味の車とか時計とかは金額の問題ではなく、
「これが欲しい!」ですから「高くても買う」の代表例かと思います。
「高いけど買う」は、たとえば「どちらがより安全か」などを考慮して
物を購入する場合などが当てはまりそうですね。
「安いから買う」にはいくつかパターンがある気がします。
特にほしいものではないけど、セールなどで見かけて「安いから買う」の場合や、
たとえばすごく汚れてしまったりして一回の使用で廃棄になるかもしれないけど
なくてはならないものを買う場合には安いものを探す場合もあるでしょう。
建築はというと、「高くても買う」と言われたら
建築会社はとてもうれしいとは思うのですが、
私たちが目指すところとはちょっと違うかなと感じています。
私たちが目指すのは、というか今すでにそうなのですが、
「これがちょうどいい」が良いと感じています。
建築はデザイン、性能、コストの綱引き
デザインや性能を上げようとすればコストが引っ張られ、
安価にしようとしてコストを引っ張るとデザインや性能が引っ張られます。
たとえば性能に関して言えば、いまや高断熱、高耐震は必須です。
これだけの酷暑ですから一昔前の長期優良住宅基準のUA値0.87程度では
快適には到底なりません。
ですが、資材高騰が続く昨今、根拠もなく図面上だけの性能を追いかけることは
おすすめできないかなと感じています。
私たちのアトリエはほぼ真西に近い南西を向いていて、
合計5.2mほどある幅の大型窓が設置されています。

そして、7月31日 ちょうど12時の外の気温は34度

日陰でこの暑さ
もし日の当たる土間の上に置いていたらこんな温度ではありません。
そんな酷暑の中でエアコンの設定温度を24度にすると
室温は25度

アトリエのオープンスペースは30畳
エアコンは、わざと20畳用を使用していますが、
エアコン設定温度と室温がほぼ同じになります。
性能的には大型窓、木製玄関ドアを使っていますので計算上は不利になり、
UA値は0.5台です。
また、玄関戸はアルミサッシメーカーの既製品とは違って気密性も劣ります。
それでも体感は超快適ですし、実測値もエアコン設定温度と同じになります。
UA値0.5程度あれば普段の生活で後悔する性能にはまずなりません。
高断熱にすると空気のスッキリ感が全く違います。
まず、低断熱な場合、エアコン設定温度と同じ室温にはまずなりません。
エアコン設定温度を低温にして、なおかつ強風にしてようやく室温が
少し下がりますが、それでもムシーーーーっとした空気感でさっぱりしません。
低断熱がなぜ気持ちよくないかというと、
外から熱が入り放題&中から冷気が逃げ放題、
そして、熱と一緒に湿気も出入りし放題だからです。
話がそれましたが、大切なのは図面上のスペックではなく「体感」で、
その体感のゴールをどこに設定するかで
性能とコストのバランスが整う境界点が変わります。
図面上のスペックをより高性能にすることはとても良いことだと思います。
その性能が「高くても買う」ならば。
総予算の中で大きく断熱性能に予算を割くのも一つの方法ですが、
断熱性能に予算を割いだことでシステムキッチンや内装選びに
大きく制限が出ることはアンバランスにならないでしょうか。
体感できる中でより高性能な断熱性能とし、
その他に予算を回してトータルバランスを整える。
それが私たちの高断熱の提案のベースになる性能で、
すべてにおいて「これでもいい」ではなく、「これがいい」と思える性能
そんな「ちょうどいい」を心がけていて、
それは同時にお客さまに安心をあたえることにも繋がると感じています。