フルリノベーションで最も大事なこと 屋根裏の攻防

フルリノベーションの話をしてきましたが、一番肝心なことを書きます。

それは、、、、

「フルリノベーションができる技術があるかどうか」です。

もうひとつ突っ込んで言うと

「フルリノベーションの施工を指示できる司令塔がいるかどうか」です。

工事は指示を出す役目の人と、その指示を具現化できる人の両方が必要です。

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天井裏の丸太の梁

こんなに大きな梁は確かに頑丈ですが、同時に自重が重いので注意が必要です。

フルリノベーションで何が一番大変かというと

「図面通りに施工できないこと」

です。

「図面通りに施工できないってどういうこと????」と感じると思います。

某刑事ドラマで「事件は現場で起きているんだ!」というセリフがありましたが、

建築も同じ。

現地調査の段階で壁の中まで状況を把握することは不可能です。

いざ工事をしてみたら

新築時の図面には筋かいが書いてあるのに、実際には入っていない。

その逆に入っていないとされているところに筋かいがある。

そして、そもそもの話として「図面と現地がぜんぜん違うやん」も

昭和の建物ではよくあります。

「筋かいが入っていないところには入れれば済むじゃん」

「筋かいがない予定のところに入っていたのなら建物が強くなるからいいじゃん」

と思うかもしれませんが、、、、、

筋かいがないとわかって、すんなりと筋かいが施工できればいいですが、

筋かい本体は施工できても耐震金物が施工できないということよくあります。

逆に筋かいが本来ない予定のところに筋かいがあった場合

これは良い方向のように見えて悪影響があります。

筋かいがある=大きな力を受けることができる

「大きな力を受けることができる」を言い換えると「大きな力が掛かる」ということ

地震などの外力は川の流れのように流れていく

大きな力が掛かるのなら、その力を受け止めるだけの耐震金物が必要で、

さらに筋かいが受けた力を次の材に流していかないといけない。

ということは、次の材も大きな力に耐えるだけの耐力がないといけない。

だけど、予定していない大きな力が掛かってしまうわけなので

壊れるということに繋がります。

なので、本来ないはずの筋かいがあるということは逆によくないのです。

知らない人ほど構造計算通りに現場を納めればいいと思ってるのですが、

「計算書通りに施工できない場合にどう対処するか」

がフルリノベーションにとって最も大事なことになります。

そのためには「気づくこと」がまず大事です。

再計算をする必要があるかどうか判断できる指示役がいないと

再検討しないといけない事柄をスルーしてしまいます。

そして、現場で施工する大工さんが正確に工事をする

これも同時に必要です。

耐震金物というのは金物とそれを留めるビスのセットで強度計算がしてあります。

なので、

「あ、ビスが一本落ちちゃった。代わりに手持ちのビスで留めちゃえ」

をやると、金物の正式な留め方にならないのですが、

それを知らずにやっちゃう方もいたりします。

だから大工さんといえ知識がある程度は必要で、

指示役と阿吽の呼吸が取れてないと耐震改修はできません。

仕事の経験年数が長ければフルリノベーションができるかと言えば

そうではありません。

構造を意識した工事をどれだけやったことがあるか

この経験が大事です。

経験を積むことで知識が付き、知識が付くことでさらに経験が増す。

これを繰り返さないかぎりフルリノベーションに必要な知識と経験は手に入りません。

きちんとしたフルリノベーションをするためには建築会社選びがとても大切ですよ。

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