フルリノベーションの施工ポイント① ~重要~

今日のブログは本当に大事です!

ウッドショックやコロナ禍での原材料の輸入が滞ったりして

建築資材が「すべて」高騰しています。

もう本当に「すべて!」

去年、3回値上げされた商品があったのですが、一度に2割ずつあがりました。

元が1000円だとしたら

1000円×1.2=1200円

1200円×1.2=1440円

1440円×1.2=1728円

1.7倍になってしまいました 涙

100万円が170万円になる

これが一つだけじゃなく、家じゅうのありとあらゆるものがこんな感じで

値段が上がっています。

そのせいで新築価格が高騰し、フルリノベーションに注目が集まっています。

ところが、新築もさることながら、フルリノベーションとなると

建築会社選びがさらに重要になってきます。

重要なことは一点だけ

「きちんと施工できる会社を選ぶこと」

「そんなの当り前じゃん」と思うかもしれません。

また、

「確かにわかるけど素人では区別がつかない」

とも思うでしょう。

今日はきちんとできる建築会社の見分けるポイントを書きます。

口では説明できない、それからあまりにも、、、すぎてココには書けないことも

たくさんあるのですがとにかく

「細心の、細心の、細心の注意をしないといけないんだな」と

感じていただけると幸いです。

ポイントは大きく三つ

「知識」と「経験」、それから「見積金額」です。

まず、きちんとした会社ってどんな会社でしょうか?

規模の大きな会社?

テレビや折り込み広告などでよく見かける会社?

地元の工務店?

きちんとした会社はどれでもあり得ます。

「あり得ます」と書いたのは三つのポイントがそろう可能性があります

という意味です。

フルリノベーションで大切なのは知識と経験

これは物件を多く手掛けているという意味ではありません。

「きちんとした工事をするための知識と経験を持っているか」です。

昔のリフォームって大工さんの経験のみで施工されていて、

今の時代から見ると「うわー、よくこんなことしたね」ってことが多々あります。

例えば、増築部の天井を解体してみたら

前建物の屋根が天井裏にそのまんまあるとか、、、

瓦も乗ったままの屋根がそのまんま天井裏に残ってる。

今の時代なら怒られるところですが、

昔は「関係ないところはそのまんまでもいいだろう」でよく施工されています。

平成12年より以前は補強金物などもほとんどない時代ですので、

梁や柱を継ぎ足したりしたところの接合も

とてもとてもお粗末です。

じゃあ、現代のフルリノベーションはというと?

たいして変わっていません。苦笑

いまだに大工の経験だけで柱を抜いたり、壁を抜いたりしていることが多いです。

いくら「フルリノベーションの経験と知識があります」と言っても

大工の経験だけで施工しているのなら知識と経験があるとは呼べません。

たしかに大工の経験はとても大切です。

ですが、その判断に根拠があるかと言えばありません。

その「根拠」をしっかりと持っていることが知識と経験の豊富さと言えます。

根拠はただひとつ、「構造計算」だけです。

構造計算って何のためにあるかというと「壊れる境目を判断するため」です。

どんな力がかかって、

その力に耐えるためにどんな断面の部材を、

どこに設置するのか。

これを判断するために壊れる境目を計算ではっきりとさせる。

「じゃあ、構造計算をやってればいいの?」というとこれまたイイエでして、、、

構造計算には何種類かありますが、

一般的に使われる許容応力度計算で木造二階建てを計算すると

計算資料はだいたい550ページくらいになります。

これを読み解けないと意味がないですよね。

読み解くには、経験が必要になるのと、

それからもっと大切なのはブレインがいること。

たとえば、本来、柱がなければならないところに柱がなくて補強したい。

でも、基礎がなくて施工ができない。

こんなことフルリノベーションでは山のようにあります。

この時に「どんな柱を入れたらいいのか」は計算で出ます。

だけど、それを「現地に合わせてどう施工するのか」は

現場監督と構造設計者(ブレイン)の協議が不可欠になります。

なぜなら現地に合わせて再計算が必ず必要になるからです。

構造設計者はピンキリ

ただ単にソフトを使って計算をしているだけの人の構造計算と、

現場を知ったうえで計算している構造計算では雲泥の差があって、

前者に「計算書通りの施工ができないのですがどうしたらいいですか?」

と聞いたところで答えは返ってきません。

確かな知識と経験を持っている構造設計者と、それを理解している現場監督の

タッグがあってこそ知識と経験と根拠がそろったフルリノベーションができます。

そして、その経験数があってはじめて

フルリノベーションに必要な知識と経験がどんどん増えていきます。

予定していたことができない

これはフルリノベーションでは当たり前。

解体してみたら、、、、、が当然にあります。

たとえば、構造計算で耐力壁に予定していない壁もついでに補強しておこう。

耐力壁は強ければ強いほど、多ければ多いほどいいだろう。

これ、アウトです!

地震や台風で建物に力がかかった時、

柱や梁を通して最後は基礎から地面に力が逃げていきます。

耐力壁の位置や数が変わるということはこの力の流れが変わることになるので

補強したところは壊れないけど、ほかのところが壊れます。

人で例えると、上半身をいくら鍛えても下半身がヒョロヒョロのままでは

横から押される力に耐えられないでしょう?

それと同じで、上半身を鍛えるなら下半身も同じだけ鍛えることで

大きな力に耐えられるんです。

この「力の流れ」が理解できないと構造計算書を読み取って

現場に活かすことができませんし、構造設計者と正確な協議もできません。

この経験がある程度できて、現場で活かすことができるためには数年かかります。

今年春に完成したフルリノベーション案件

解体してみたら梁も柱も基礎もほとんどなく、

構造計算は現地に合わせて構造計算は何度もやり直しました。

これ、もしも知識も経験もない会社が施工していたら、、、、

クロスを貼って仕上がってしまえばきれいに見えますが、

実際には耐震性能が全く上がっていない

むしろ↑のようなことをやって逆に建物を弱くしてしまうことになったと思います。

構造計算を使ったフルリノベーションができるかどうかを簡単に確かめる方法は

「どうやって補強しますか?」と尋ねてください。

もしも相手が「フルリノベに慣れてますから大丈夫です」としか

返事が返ってこなかったらアウトです。構造計算をしていない証拠でしょう。

もし「構造計算で確認します」と言われたら

「どんな構造計算で確認するのですか?」と聞いてください。

「構造担当がやります」なんて返事が返ってきたらこれもアウト

フルリノベーションでは柱や梁を抜いたり残したり、補強したりすることは

プランに大きく影響するわけですから

どんな方法でやるかがわかっていなければ良いプランもできないということです。

それから一番多い勘違いとして、

建物の安全を確認する方法には2つあります。

ひとつは仕様規定と言って「木造ならこうしてくださいね」と

建築基準法に書いてあることを守る方法

もうひとつは構造計算です。

仕様規定で安全を確認するとき、多少計算があるのですが、

この計算のことを構造計算と勘違いしている人の多いこと!

建築士を持っていてもこのことを知らない人たくさんいます。

この計算はあくまでも仕様規定に当てはまるかどうかの確認であって

構造計算ではありません。

構造計算はあくまでも構造計算

許容応力度計算や限界耐力計算などを指します。

ココに書いたことはフルリノベーションに必要な知識のほんの一部を書いただけ。

実際には現地に合わせてもっともっと考えなければならないことがあります。

車に例えて想像してみてください。

30年前に発売された大好きな車を買うとして値段だけで判断できるでしょうか。

もしもレストア前提で買うとして、

レストア知識も経験もないお店で買うでしょうか。

お店の良し悪しで何もかもが変わることは想像できるところですよね。

フルリノベーションも同じです。

価格だけ、会社の規模などだけでは判断ができない。

面談してしっかりと知識と経験の有無を確認しないと大変なことになりますよ。

目次