人の動線の作り方のポイント

無意識の心地よさを作るために光と風の導線と同じだけ大切なのが

「人の動線」です。

光や風は導くので導線

人は動くので動線

近年よく「小さく建てて豊かに暮らす」なんてキャッチフレーズを見かけますね。

それ自体は私も賛成です。

これだけいろんな資材が高騰していたら大きく建てたくても

予算的に難しかったりしますよね。

でも、公開されてる間取り図を見ていると「これはちょっと、、、」と

感じることもしばしばあります。

コンパクトに建てるということは絶対的な面積が減るということ

でもでも例えばトイレの大きさもコンパクトにできるかと言えば

それは無理ですよね。

1m角のトイレなんかできないですよね。

家が大きくても小さくても同じだけスペースが必要なことはたくさんあります。

トイレ便器も

浴槽も

キッチンのシンクもガスレンジも

システムキッチンとカップボードとの距離も

冷蔵庫の大きさも

ソファの大きさも

廊下の幅も

階段に必要なスペースも

一般的な大きさの半分というわけにはいきません。

となると、どこかで無理をしなければならない場合も出てきます。

どこに無理が出るのか?

例えば限られたスペースの中で対面キッチンにしたため、

ダイニングテーブルのスペースが狭かったり、

無理やりに置いたソファが窓にかぶっていたり、、、、

そうなると、、、、

当然にダイニングテーブルのイスが出っぱなしだと人が通れないし、

ソファに人が座っていたら「ちょっと通りたいから足を上げて」

みたいなことにもなります。

そんな状態だと全然コンパクトに建てた意味がないんですよね。

ただ小さく建てただけで全然豊かではない。

人の動線をマネジメントするとき

福祉住環境コーディネーターの知識と介護リフォームの経験が役に立っています。

たとえば最近のシステムキッチンは引き出し式が多いですよね

引き出しを出すということはかがんで「お尻が後ろに出る」

引き出しを引き出すために「自分の体を逃がすスペースが必要になる」

介護リフォームはこういう人の動作に注意点を置いて行うのですが、

これは介護に限らす全年齢の人たちに共通して快適になる事です。

その少しの余裕を持った人の動きを考慮してスペース取りをすることで

人の動線がきれいに確保されます。

テレビドラマで出てくるような常にきれいに片付いている家なんて

そうそうありません。

ダイニングテーブルのイスが出たり入ってたりしてる。

ご飯を炊くときに炊飯器を載せた棚をスライドして出したまま

リビングの床におもちゃが置いたまま

などなど、生活をしているのですから当たり前の光景があります。

それでもストレスなく人が動けるだけのスペースをきちんと考える。

ソファに座っている人の前を横切らないといけないようでは

静と動が混乱していますので、まずはそれを避ける。

それからできるだけ動線はまっすぐにする

だけど、斜め歩きができる

これが一番の理想です。

通路としてはまっすぐ確保されているのだけど、

人の動きとしては多少斜めに歩いても問題ないようにソファやテーブルと

入口などのつながりを整理する。

その際に上半身と下半身にわけて考えることも大切です。

いくら広くスペースを取りたいからといってすべて肩幅で考える必要はありません。

歩くときの足の幅は広くても45センチ程度

腰から上はというと肩幅プラスαで考えると75センチ程度

この差30センチを有効に使うことでコンパクトな中にも

余裕のある動線を確保できます。

普通の座面の高さでひじ掛けもあるソファ

これを使うと手の先がソファの背もたれ部やひじ掛けに当たるので

無意識のうちにそれを避けて歩く=無意識のうちにストレスとなります。

でも、座面低めでひじ掛けのないタイプのソファなら

手の先が当たらないので無意識のうちにソファに多少寄って歩いても

気にならず無意識の快適さ=ストレスフリーにつながります。

家具の配置や使い勝手よりも建築デザインを優先しすぎることなく

バランスのとれた配置計画で広い動線を確保したいですね。

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